あおぞら眼科ワンポイントレッスン|白内障手術について

白内障手術とは

白内障手術は、現代医学における最も進歩した手術の一つといわれています。とくに小さな傷口ですむ超音波白内障手術は、痛みの少ない安全性の高い手術と考えていただいてよいと思います。
超音波白内障手術では、小さな傷から超音波を利用して濁った水晶体を処理し(小切開白内障手術)、眼内レンズというピント合わせのためのレンズを挿入します。切開する幅が小さいため、術後の炎症や乱視が少なくてすみます。
挿入する眼内レンズの度によって、手術後の目の焦点の合い方を調整する事ができます。近くにピントを合わせたり、遠くにピントを合わせたり、ある程度の調整が可能ですので、手術を担当する医師とよくご相談ください。いずれにせよ手術後は老眼になりますのでメガネの調整が必要です。また、眼内レンズを挿入しますと、色調が変化したり、まぶしさを感じたりすることもあります。
かなり進行した白内障では、水晶体が硬く、超音波による手術が、かえって危険を伴うこともあり、安全を期して、超音波の器械を使用しない手術方法を選択する場合もあります。また、患者さんの目のコンディションによっては、眼内レンズが挿入出来ない場合もあります。

白内障手術後の経過

手術後の視力改善の程度は、患者さんによってまちまちです。翌日からよく見える方も、手術後数ヶ月して視力が安定する方もいます。白内障以外に目の病気がある場合、視力が改善しにくい場合もあります。
退院後1週間は、外出は最低限とし、ゆっくりお過ごしください。
退院後、1週間を過ぎた頃から仕事を始められる方が多いですが、個人差がありますので、その都度担当医にご相談ください。 手術時の傷がしっかりと閉じるには約1ヶ月を要します。この間、スポーツや旅行などは控えた方が賢明です。
手術後は、眼鏡の調整を要することが多いですが、一般に手術後2から3ヶ月期間を置いて、視力が安定してから眼鏡の処方を行います。手術後しばらくは、白目が赤くなったり(手術中に生じる結膜下出血によるもので心配ありません)、多少ゴロゴロしたり、眼脂が出たりしますが、次第に軽度になり、多くの場合2週間ほどで軽減します。また、手術後に、目の前に黒い点が浮遊して見えたり、蚊が飛んで見えたりする飛蚊症という症状が見られる事があります。多くの場合、心配はなく、数ヶ月以内に軽減します。
自覚症状が急に悪化する場合には手術をお受けになった病院もしくはあおぞら眼科クリニックに早めにご連絡ください。

白内障手術の合併症について

現在の白内障の手術は、極めて安全な手術のひとつであることは確かです。しかしながら、生きている臓器にメスを加える以上、100%安全な手術というのは存在せず、白内障の手術にも、合併症の可能性はあります。

白内障手術の手術中及び手術後の合併症として
(1)後嚢の破損、(2)駆逐性出血、(3)術後感染症(眼内炎)、(4)黄斑浮腫、
(5)角膜浮腫、(6)高眼圧、(7)網膜剥離、(8)糖尿病網膜症の進行、(9)後発白内障などがあります。

  • (1)後嚢(水晶体の皮膜)の破損
  • 水晶体の皮膜(カプセル)が脆弱である場合等に、手術中に皮膜が破損することがあります。
    また、水晶体を支えるチン氏体という支えが脆弱な場合、水晶体そのものがずれたり、脱臼したりする場合があります。
    手術中に適宜対処いたしますが、後に硝子体手術と言う手術を施行する必要が生じることもあります。
    眼内レンズは、通常、水晶体のカプセルの中に挿入しますので、このような場合、眼内レンズの挿入を断念せざるを得ない場合があります。状況が許せば、特殊な方法で眼内レンズを縫い付ける方法をとることもあります。

  • (2)駆逐性出血
  • 白内障手術中に、脈絡膜という目の内張りをしている膜の一部に生じる原因不明の大量の出血です。
    一万件に一件程度生じうると言われています。この場合手術を中止せざるを得ず、的確な処置によっても視力を失う可能性がある合併症です。

  • (3)術後感染症(眼内炎)
  • 手術前には、念入りに眼周囲の消毒を行いますが、まぶたの分泌線や睫毛の奥に潜んでいる細菌が手術中に紛れ込んで、細菌の感染症が生じる可能性があります。
    手術前後には抗生物質も使用して、感染予防には万全を期しますが、 どんなに完全な予防策を講じても数千件に一件程度の確率で、術後感染症を生じうると言われています。
    早期に適切な治療が必要な合併症ですが、十分な治療によっても視力を失う可能性があります。
    手術後にいったん改善した視力が低下したり、充血が急に悪化したり、目の痛みを自覚したりした場合には、できるだけ早く診察をお受けください。

  • (4)黄斑浮腫
  • 白内障手術後に、網膜(カメラのフイルムにあたる眼の内張りをしている膜)の中心部(黄斑)にむくみを生じることがあります。原因ははっきりしていませんが、黄斑浮腫を生じると、いったん改善した視力が再び低下してしまいます。治療により3ヶ月から半年くらいで改善することが多いです。

  • (5)角膜浮腫
  • 角膜(黒目にあたる透明な組織)が、白内障手術後にむくんで濁ってしまい、視力が低下する事がまれに生じます。もともと角膜の加齢現象が進行していたり、緑内障のある眼などで生じやすいといわれています。

  • (6)高眼圧
  • 手術後に、眼の圧が上昇し、頭痛、眼の鈍痛、吐き気などを生じる事があります。適宜、眼圧を下げるための点滴をしたり、点眼薬、飲み薬などを処方したりします。多くの場合一過性で、数日で改善します。

  • (7)網膜剥離
  • 手術が順調に施行された場合でも、手術後に網膜剥離が認められることが極めてまれにあります。その場合、適宜、レーザー治療や、手術が必要です。

  • (8)糖尿病網膜症の進行
  • 糖尿病がある方の場合、白内障の手術後に、眼底に糖尿病網膜症が出現したり、進行したりすることがあります。手術後は手術前に増して、眼底の検査をし、網膜症の進行に備える必要があります。

  • (9)後発白内障
  • 手術後数ヶ月から数年を経て生じる合併症として、後発白内障があります。眼内レンズが移植されている水晶体のカプセルの混濁によって生じ、ゆっくりと視力低下を自覚します。白内障手術後20%から40%に生じると言われていますが、ヤグレーザーを用いるレーザー治療により、外来で治療可能です。

白内障以外に眼の病気が無い場合、白内障手術により、視力の向上が得られる可能性は、きわめて高いと考えられますが、以上にのべた合併症等がまれながら生じうること、場合によっては視力を失う可能性があることをご理解ください。

全身的なこと

白内障手術は、多くの場合局所麻酔で行います。したがって、手術が直接の原因となって全身的な合併症が生じる可能性はまずありません。しかしながら、白内障手術をお受けになる患者さんは高齢の方が多く、手術室においてたまたま脳血管障害(脳卒中)や心筋梗塞などを発症することが無いとはいえません。この場合は、直ちに麻酔科医との協力の下、適切な処置をすることになります。
以上白内障手術について説明いたしました。

あおぞら眼科クリニックでは白内障手術をおこなっておりませんので、信頼できる施設をご紹介させていただくことになります。近隣の各施設以外にもご希望により順天堂医院や聖路加国際病院での手術もご紹介しています。
手術の利点、欠点をよくご理解いただいた上で安心して白内障手術をお受けになれるようお手伝いしたいと思います。ご質問等があれば担当医やスタッフにお声をかけてください。

(以上の説明は聖路加国際病院の白内障手術パンフレットをもとに作成いたしました。)